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2006年10月14日

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この時期の私の家は、ドラゴン探偵団をはじめ、近所のバンド小僧のたまり場になっていた。
私の中に住まうニヒリズムはどうやら親から受け継いだものらしく、我が家にろくでもない人間が入り浸っていることに、両親はあまり頓着していようだった。
一宏などは、数週間ほど家に帰らずウチに入り浸っていることがザラだったし、私が学校やバイトでいない間も、誰かが勝手にあがりこんで、ゲームをしたり、ビデオを観たりしている、という有様だった。

そんなある日、私は阿守の素性を知ることになる。
確か、一宏やタラが、移民だのハーフだのという話になったときだったと思う。
阿守が、自分は『ロマ』だと言い出した。
しかし、ロマなどという単語は聞いたことがなかったので、それは何かと問うてみると、ジプシーのことだという。
ただ、ジプシーというのは差別用語になるらしく、ロマといったほうがいい、と阿守は教えてくれた。

阿守家はもともとヨーロッパの、特にラテン系の土地をメインに放浪していた一族だという。
阿守=AMORIとうのは、元来イタリアの姓であるらしく、イタリアではそこそこ由緒のある家柄だったAMORI家から、何らかの事情でAMORI姓を下賜されたらしい。
AMORI本家は近代に入ってファッションブランドを立ち上げた。
大戦時のこと、阿守の先祖とAMORI本家の庶子数名は、同盟国である日本に移住した。
両家の者は四国の片田舎に定住することになりAMORIに阿守という字を当てた。
当主の方はこちらでもそこそこ大きな服飾店を経営していたが、20世紀末のバブル崩壊のあおりを受けて倒産してしまった。
今では彼らの方がロマになってしまい、人知れず放浪しているらしい。

もしやズッサンも移民なのでは?
本人に問うてみると、やはりそうだ、という。
もともとはアラビアあたりの民族らしい。
「ズッサンとはまた奇妙な苗字だね」
というと
「ハッサンみたいなもんだよ」
と、ズッサンは応えた。
なるほど、そういえばアラビアンナイトにそんな名前の登場人物がいたような気がする。

江戸時代、ズッサンの先祖は取引先であるオランダの商船に乗って日本を訪れ、そのまま庶民として定住してしまった。
そして明治時代、庶民が姓を名乗ることを許され、人々は寺に行って、住職から姓をもらった。
その際、ズッサンの先祖は
「自分には既に姓がある。ズッサンという」
と申し出たのだが、それを聞いた住職は
「ずっさん?ああ、図子(ずし)さんな」
と勘違いしてしまい、以来ズッサン家は図子姓を名乗ることになったという。
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posted by ニヒリストHILAO at 07:47| Comment(0) | 死国編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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