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2007年10月13日

58

軍司が大阪にやってきた。

「お前やぁ、話が急すぎるわ」
スタジオに到着するなり、阿守に向かって軍司はぼやいた。
先日発売したCDや、過去のライヴ音源を元に練習を積んではきたものの、あまりにも時間が無さ過ぎた。
「あんまり気の効いたことは出来へんぞ」
真鍋が譜面を起こしたおかげで、譜面を見ながらなんとかついてこれそうだった。
ついてくるのがやっとで、アレンジにまでは手が回らないとのことだったが、今はライヴで弾いてもらえるだけでもありがたい。

軍司を交えての練習。
ヤジや激を飛ばしあいながらも、演奏はなんとか固まっていった。
なんだか高校時代を思い出す。

途中、社長がスタジオを覗きにきた。
しばらく練習風景を眺めていたが、演奏が途切れた時に
「いただき!」
と一言残して去っていった。
言葉を発するのと同時に指も鳴らしてしたのだが、その後の人差し指が軍司を指していたようにも見えた。

一応練習は終わった。
なんとかなりそうだったが軍司は不安らしく、皆が荷物をまとめて帰ろうとしたところで阿守を呼び止めた。
「阿守、今夜は帰さへんぞ」
軍司初ライヴの前日、阿守は夜中までスタジオに付き合わされた。


「いやぁ〜しかし、真鍋ちんの譜面のおかげでなんとかなったわぁ。真鍋ちん、譜面書くの滅茶苦茶うまいなぁ〜」
真鍋の楽譜は読みやすいと評判がいい。
「定規とか使ってんの?」
とよく訊かれるが、大抵はフリーハンドらしい。
その真鍋が、ほぼ文盲に近いことはあまり知られていない。

インディーズバンドがライヴをする際、チケットの取り置きシステムを使うことが多い。
あらかじめチケットをライヴハウスに預けておき、予約のあった人に前売り料金で入場していただくという非常に便利なシステムだ。
そのチケット取り置きリストをバンドは開場前までに書いてライヴハウス側に渡すのだが、SIBERIAN-NEWSPAPERでは大抵阿守がリストを書く。
なぜなら阿守は字が上手く、さらに字を書くのが好きだからだ。
だが、時々阿守も席を外すことがある。
そんな時はメンバーが各自自分の呼んだお客さんの名前をリストに書いていく。

その日、取り置きリストを書く段階で阿守がたまたま席を外しており、メンバーが各々自分のリストを書いていた。
「真鍋、リスト」
私が自分の分を書いてリストを真鍋に渡そうとすると
「名前言うていくから、書いていってくれ」
と頼まれた。
だが私は丁重に断った。
なぜなら私は字が下手で、さらに字を書くのが嫌いだからだ。
「頼むわ〜。最近酒呑み過ぎで字ぃ忘れて書かれへんねん」
「情けない!ひらがなも書けんのか?アルファベットは?」
「おお、英語は得意やぞ!AからGまでは完璧」
と自慢げに言われて、一体私はなんと返せば良いのか。

今さらながらSIBERIAN-NEWSPAPERが社会不適合者の集まりであることを思い知らされたのだった。
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posted by ニヒリストHILAO at 10:51| Comment(1) | 組閣編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
押し後残します
Posted by 人妻 at 2008年01月26日 17:55
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