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2007年10月20日

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謎の敏腕エージェント・中原さんという人が、タッキーの元を訪れていた。
タッキーは音楽業界関係者に会うと、手当たり次第『Asiatic Spy』を渡していたのだが、この中原さんがそれに対して非常に大きな関心を示した。
とりあえずタッキーは中原さんにバンドの概要を説明した。
「東京に北海道?なんだか活動が大変そうだねぇ」
「あ、でも北海道のピアニストは今ちょっと身動きが取れないので、横浜のピアニストに弾いてもらってますから、少しは身軽になりましたよ」
「ん?つまりメンバーチェンジしたってこと?」
「いやぁ、はっきりとメンバーチェンジしたというわけでは・・・。高度な柔軟性を保ちつつ、臨機応変に対応するといいますかなんといいますか・・・」
「つまり、行き当たりばったりというわけだ。あとギターの真鍋くんだっけ?水曜日にしかライヴに参加できないっていうのはちょっと大変だね」
この時期真鍋はギタースクールに講師として勤めており、休みが水曜日しかないため水曜日以外のライヴには参加できず『水曜日に奏でる男』と呼ばれていた。

「僕としては是非お手伝いしたいところだけど、メンバーの意向が不透明だね。このバンドが今後も長く存続するのかどうかが、正直ちょっと見えないなぁ」
「はぁ…そうですね」
その時、タッキーの頭にはWORLD DEFENSE LOVERSのことがよぎった。
確かに、これからというときに「やっぱり辞めます」では困る。
「1度メンバーの意思確認をしたほうがいいんじゃない?」
「・・・そうですね」
その夜タッキーは社長を呼び出した。


「で、君らは今後このバンドをどうするつもりやねん」
あるライヴの打ち上げで、社長が突然切り出した。
「なんだよ急に。なんの話?堅苦しいのはナシだよ?」
阿守がとぼけて返したが、社長はおかまいなしに続けた。
「例えば、軍司はいま臨時で手伝ってんのか?それとも今後も続けられんのか?」
「いやいや社長。そういう堅苦しいのはナシにしようよ。僕は気楽に楽しく出来たらそれでいいんだよ」
と阿守が口をはさむとタッキーがそれに応えた。
「君らはそれでええかもしれんけど、それやとこっちはどれぐらいバックアップしたらええかわからんのや。ウチらもタダで動けるわけやないからなぁ」
「俺はいけるで」
タッキーの言葉が途切れるのと同時に軍司が言葉を発した。
「俺はシベリアンをメインに活動しても全然問題ないで」
と軍司はみずからの意向を述べた。
さらにタッキーが続ける。
「じゃあ、真鍋君はどないや。水曜しかライヴに出られへんのはちょっと厳しいんやけど」
「俺はね、やるよ。仕事辞める算段もついとる」
「生活は大丈夫なん?」
「まあ、なんとかなるやろ」
社長の視線がタラに向く。
「いやぁ、俺みたいなもんを使ってくれるんやったらなんぼでもお手伝いしまっせ!」
さらに山本さんが続く。
「僕はね、いままで長いこと音楽続けてきましたけど、このバンドが最後やと思てます。SIBERIAN-NEWSPAPERが終わるんやったら、僕も音楽活動は辞めようかなと」
皆の視線がこちらを向いたので、続いて口を開いたのは私だった。
「俺はいま別のバンドをやっておる。練習にしろライヴにしろ、活動の密度はそちらの方がはるかに高い。が、メインはSIBERIAN-NEWSPAPERだと思っている」
「雄作は?王家のしがらみとか、俺らにはちょっとわからん部分があるんやけど」
そうタッキーに訊ねられると、雄作は何処を見るでもなく語り始めた
「僕の付き人みたいなヤツいたでしょう?アイツ、クーデター起こしちゃいました」
全員が雄作を注視する。
「ああ、でも心配しないで下さい。無血クーデターですから。形としての王家は残るんですけどね、主権は剥奪されました。で、僕はコイツと引き換えに王家との縁を切ってきました」
といっていつも使っているヴァイオリンを示した。
「ですから、僕はやりますよ」
しばらく沈黙が続いたあと、雄作がぽつりと呟く。
「でもアイツ、なんでクーデターなんか起こしたんだろ?」
私はその理由を知っているような気がしたが、あえて口にはしなかった。

「で、阿守くん。みんなはこう言うてんねんけど、君はどないや?」
タッキーが話をまとめに入った。
「いやぁ嬉しいなぁ。でも、いきなりこんな話されても僕はちょっと考えがまとまらないよ」
急に深刻な話をされて、阿守は少し混乱しているようだった。
阿守の考えがまとまるまで時間を置くことにし、その場は解散となった。

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posted by ニヒリストHILAO at 11:27| Comment(1) | 組閣編 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
押し後残します
Posted by 人妻 at 2008年01月26日 17:57
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